相続の事例・知識

相続争い事例1:兄が母の賃料収入を搾取していた

母(85)が亡くなった。
父は10年前に亡くなっていて、それ以来、兄(58)夫婦と同居していた。
母は祖父から相続した土地に賃貸マンション2棟を建てていた。
妹(55)は兄に相続財産を見せてもらうよう頼んだが、兄は応じなかった。
そこで、妹はしかたなく、弁護士に依頼して遺産分割調停を申し立てた。
調停が開始されてしばらくして、ようやく兄が依頼した弁護士から資料が提出された。
すると、驚くような状況が明らかになった。

母の賃貸マンションの収入は、かなり前から兄が設立した会社が管理していて、その会社が多額の管理料を徴収していたので、建設資金のローンを返済すると、母の収入はほとんどなかった。
母の収入は1か月あたり10万円の年金収入だけだった。
兄の会社が管理料をどのように使ったかは開示してもらえなかったが、羽振りの良い兄夫婦がほとんど使っていることは明白だった。
さらに、母の作成した公正証書遺言が出てきた。

そこには、すべての遺産を兄に相続させると記載されていた。
もっとも、そもそも母には賃貸マンション以外は何も残っていなかった。
賃貸マンションはローン残高を差し引くと価値がなかった。
借金だけ残っていた。
兄は妹に対して、「借金は俺が背負ってやるからな」などと言い放った。
母は5年以上前から認知症の症状があったので、兄の言いなりだった。
兄がすべてを仕組んだことは明白だった。
妹は結局一銭ももらえなかった。

その後、兄と絶交になったのはいうまでもない。